はじめに
近年、性犯罪に関する法律の改正が相次ぎ、令和5年の刑法改正によって新たに「不同意わいせつ罪」が創設されました。
この罪は、それまでの「強制わいせつ罪」に代わる形で新設されたもので、より被害者の意思や同意を重視する方向に改正がなされています。
しかし、「不同意わいせつって何?」「どんな場合に捕まるの?」「冤罪の可能性は?」といった不安や疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、「不同意わいせつ」について分かりやすく解説し、もしものときに頼れる弁護士の選び方や、弁護士に依頼するメリットについてもご紹介します。
不同意わいせつ罪とは
不同意わいせつ罪とは、「相手の同意がない状況でのわいせつな行為」を処罰する犯罪です。2023年(令和5年)の刑法改正により、「強制わいせつ罪」が廃止され、「不同意わいせつ罪」として新たに刑法第176条に規定されました。
具体的には、「相手が同意していないことを知りながら、または同意していない可能性があることを認識しながら、わいせつな行為を行った場合」に成立します。
どんな行為が対象?
以下のような行為が不同意わいせつに該当する可能性があります:
- 同意のないキス
- 胸や下半身を触る
- 性的な部位への接触
重要なのは、「相手の同意がなかったかどうか」が判断基準になるという点です。
旧法との違い
改正前の強制わいせつ罪では、13歳以上の男女に対する行為については「暴行または脅迫」があることが要件でしたが、不同意わいせつ罪では、
- 相手の同意がなかったこと
- そのことを加害者が認識していたこと が重要なポイントになります。
暴力が伴わなくても処罰の対象になるため、非常に広い行為が「犯罪」となる可能性があります。
不同意わいせつと不同意性交の違い
不同意性交とは?
同じく刑法改正によって創設された「不同意性交罪」は、相手の同意なく性行為を行うことを処罰するものです。
不同意わいせつとの主な違いは、「行為の内容」にあります。
- 不同意わいせつ:わいせつな接触行為(キスや体を触るなど)
- 不同意性交:性交・口腔性交・肛門性交などの性行為
つまり、不同意性交はより重い性的行為に対する処罰であり、処罰の範囲と量刑も異なります。
不同意わいせつの罰則
不同意わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑です。
罰金刑がないため、起訴されてしまえば、裁判所の公開法廷で審理されることとなります。そして、有罪となった場合には執行猶予がつかない限り刑務所に収容されます。
不同意わいせつの逮捕率は?(2023年検察統計より)
2023年検察統計によれば、「不同意わいせつ」で検挙された件数は4,505件であり、そのうち逮捕された件数は2,656件です。不同意わいせつ罪の逮捕率は約59%であり、不同意わいせつ罪で検挙された場合には、半数以上が逮捕されてしまうということになります。
そして、このうち勾留された件数は2,445件であり、勾留が却下された件数は121件にとどまります。勾留率は約92%となり、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまった場合には、ほとんどの事案で勾留されているということになります。
このことから、不同意わいせつで逮捕されてしまうと、最長23日間にも及ぶ身柄拘束を受けるリスクが高いと言えます。
不同意わいせつに強い弁護士とは
専門性と経験があるか
不同意わいせつ事件は、供述の信用性や事実関係が争点になることが多く、刑事事件の中でも非常に繊細な対応が求められます。
そのため、以下のようなポイントを満たす弁護士を選ぶのが望ましいです:
- 刑事事件に精通している
- 性犯罪事件の弁護経験が豊富
- 示談交渉の実績がある
- 迅速な接見・対応が可能
不同意わいせつで弁護士に依頼するメリット
逮捕を回避するための弁護活動
上述の通り、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまうと、高い確率で引き続き勾留され、最長23日間の身体拘束をされることになります。長期間身体拘束がされると、職場を解雇されたり知人にも知られてしまったりするなど、社会生活に大きな影響を及ぼします。
そこで、まずは逮捕を回避するための活動をすることが大切です。
不同意わいせつで警察の捜査を受けている場合、弁護士が早期に介入することで、逮捕を回避できる可能性があります。任意出頭や事情聴取に同席し、身柄拘束の必要がないことを主張することで、逮捕を回避し、引き続き以前と変わらない状態で社会生活を送ることが可能です。
早期の接見・身柄解放
万が一逮捕された場合でも、弁護士が迅速に接見し、勾留阻止に向けた活動(準抗告、意見書提出など)を行うことで、早期の釈放を目指すことができます。
示談交渉による不起訴の可能性
性犯罪事件では、被害者との示談が成立すれば不起訴となる可能性があります。弁護士を通じて被害者と適切に連絡を取り、示談をまとめることで、前科を回避できる可能性があります。
不当な取調べや供述調書への対応
警察や検察の取調べでは、無理な誘導や不利な供述調書が作成されることもあります。弁護士が介入することで、適正な手続の確保が図られます。
不同意わいせつ罪でお悩みの方は弁護士法人晴星法律事務所へご相談ください
不同意わいせつ罪で突然の逮捕や警察からの呼び出しを受けた場合、慌てずにまずは弁護士にご相談ください。性犯罪に関する事件は、被害者の供述が重視されるため、適切な弁護活動を行わなければ、冤罪や過剰な処罰のリスクもあります。
弁護士法人晴星法律事務所では、刑事事件・性犯罪に精通した弁護士が、迅速・丁寧に対応いたします。
早期にご相談いただくことで、より良い結果に導くことができます。
お困りの方は、今すぐご相談ください。