不同意性交等罪は、2023年7月13日の刑法改正によって新設された性犯罪であり、以前の「強制性交等罪」を統合・見直ししたものです。この改正により、被害者が自由な意思を形成・表明・維持できない状態で行われた性交等行為が、より幅広く処罰対象となるようになりました。たとえば、暴行・脅迫だけでなく、意識のない状態や心理的な圧力などに乗じた行為も含まれるようになっています。
刑法上の根拠として、不同意性交等罪は刑法第177条に規定されています。同条文では「同意しない意思を形成し、表明し、または全うすることが困難な状態」に乗じた性交等行為を行った者に対し、婚姻関係の有無を問わず、5年以上の有期拘禁刑に処するとされています。
不同意性交の時効
不同意性交等罪の公訴時効は15年です。これは刑事訴訟法第250条第3項第2号に基づき、長期10年以上の拘禁刑に当たる犯罪に適用されます。前述のように、被害者が18歳未満の場合には、刑事訴訟法第251条により、18歳に達した時点から時効が進行します。
したがって、被害から何年経過したかだけでは判断できないことがあり、加害者側も油断はできません。
また、被害者の傷害や死亡を伴う場合には、さらに長期の時効が設定されています。傷害があれば20年、死亡していれば30年とされており、行為から長期間が経過していても起訴の可能性が残る場合があります。
不同意性交での民事の時効(損害賠償請求)
不同意性交等罪は、民法上の不法行為にも該当するため、被害者は加害者に対して損害賠償請求を行うことが可能です。
民法第724条により、請求には二重の時効制限があります。1つ目は「損害および加害者を知ったときから5年間」で、2つ目は「加害行為から20年間」です。このいずれか早い方によって時効が成立し、損害賠償請求権は消滅します。
性犯罪被害者の場合、加害者を特定するまでに時間がかかることも多く、精神的な苦痛から被害認識が遅れることもあります。そのため、時効制度に関する法的な解釈や例外の可能性を含めて、専門家である弁護士に相談することで、救済の道が広がる可能性があります。
不同意性交の時効を待つ前に弁護士にご相談ください
「時効まで逃げ切ることができる」と考えるのは非常に危険です。
性犯罪の検挙率は高く、被害者が数年後に告訴するケースも珍しくありません。また、時効には停止要因があるため、たとえば国外逃亡中は時効の進行が一時的に止まり、再開されることもあります。
突然の逮捕や呼び出しに備えるためにも、早期に弁護士と対策を講じることは、精神的にも法的にも非常に有益です。特に不同意性交等罪は、被害者供述の信用性や医学的記録などが重視されるため、「証拠がないから安心」とは言い切れません。
不同意性交で前科を付けないために
不起訴処分を獲得するためには、被害者との示談が重要な鍵となります。示談によって、被害者が告訴を取り下げる意思を示すことで、検察が不起訴を選択する可能性が高まります。ただし、性犯罪事件において加害者本人が直接示談を申し入れることは、心理的にも現実的にも困難です。
そこで、経験豊富な弁護士を通じて冷静かつ適切な示談交渉を行うことが推奨されます。このような弁護士の介入があることで、被害者の感情や対応に配慮した柔軟な処理が可能となり、前科を回避する結果につながることもあります。
不同意性交を弁護士に相談するメリット
弁護士に相談することで、複雑な性犯罪事件に対して的確なアドバイスを受けることができ、法的リスクを整理できます。具体的には、被害者との示談交渉の代理、自首のサポート、逮捕回避に向けた上申書の作成、警察や検察対応の戦略立案、さらには精神的な不安の軽減など、多面的な支援が得られます。
また、時効の進行状況や証拠の有無、不起訴の可能性などを検討するためには、法的知識と実務経験のある専門家の助言が不可欠です。不用意な供述や対応が後に不利となることを防ぐためにも、早期の相談が望ましいでしょう。
不同意性交でお悩みの方は弁護士法人晴星法律事務所へご相談ください
不同意性交等罪で悩みを抱えている方は、まず弁護士に相談することが最善の選択です。弁護士法人晴星法律事務所では、性犯罪事件の対応に実績のある弁護士が、迅速かつ丁寧にサポートを行っています。被害者との示談交渉から逮捕回避、不起訴処分の獲得まで、状況に応じた対応策を提案し、依頼者の不安を一つずつ解消していきます。
刑事事件では一日一日が重要ですので、まずは一度、法律の専門家に相談することから始めてみてください。