ご家族やご本人が逮捕され、「勾留が延長された」と聞くと、「このまま起訴されてしまうのではないか」と強い不安を感じる方が多いと思います。
しかし、勾留延長=起訴というわけではありません。
また、そもそも勾留や勾留延長は無制限に認められるものではなく、法律上は厳格な要件が定められています。
もっとも、実務ではその運用に法律とのズレがあるのも事実です。
本記事では、勾留延長の仕組みや法的要件、実務の実情、そして弁護士ができる対応について、わかりやすく解説します。
勾留延長とは
刑事事件では、逮捕後も引き続き身体拘束を行う必要があると判断された場合、「勾留」という手続がとられます。
逮捕後、検察官が裁判官に勾留請求を行い、これが認められると、原則として10日間の勾留が決定されます。
もっとも、この10日間で捜査が終わらない場合には、さらに最大10日間の延長が認められることがあります。これが「勾留延長」です。
つまり、勾留延長とは、捜査を継続する必要があるとして、法律上の要件を満たす場合に,勾留期間をさらに延ばす制度をいい,これが認められると,逮捕から数えて最大で23日間身柄拘束が続いてしまうことになります。
これは,あまりに長期間であるため,勾留延長がなされると,仮にその後不起訴となったとしても,対象者は大きな社会的不利益を被ってしまうことがあります。
そもそも勾留や勾留延長はどのような場合に認められるのか
勾留や勾留延長は,長期間にわたり被疑者の身体的自由を奪う行為であり,これが安易に認められると人権侵害にもつながることから,自由に認められるものではなく、法律上の要件が必要となります。
1 勾留が認められるための要件
被疑者が「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」がある場合で、左の各号の一にあたるときに,できるとされている(刑訴法207条1項,60条1項)。
一 定まった住居を有しないとき。
二 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
つまり,勾留が認められるためには、以下の2つが必要とされています。
(1)罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(犯罪の嫌疑)
被疑者が犯罪を行ったと疑うに足りる合理的な根拠が必要です。単なる疑いでは足りません。
(2)勾留の必要性(逃亡または罪証隠滅のおそれ)
さらに重要なのが、「身体拘束の必要性」です。
すなわち,勾留は相当程度の期間の身柄拘束という不利益を伴うものであるため,身体拘束を行うだけの必要性がないと行うことはできません。
このため,
・住所不定
・逃亡のおそれがある
・罪証隠滅のおそれがある
といった事情がなければ、本来勾留は認められません。
2 勾留延長が認められるための要件
勾留延長については,先に述べた勾留の必要性に加え,さらに「やむを得ない事由」がある場合に限り認められます。
具体的には、
事案が複雑・困難である,関係者や共犯者が多数存在して,事情の把握に多大な時間を要する場合等,通常の勾留期間では捜査を尽くせない合理的理由があることが必要です。
実務上の運用とのズレに注意
もっとも、実際の運用では、この法律上の要件が厳格に判断されているとは限りません。
実務では、
「まだ捜査が終わっていない」
「関係者の取調べが必要」
といった捜査の必要性が重視され、勾留や勾留延長が請求・認められるケースが多いのが実情です。
しかし、本来重要なのはあくまで、
・逃亡のおそれがあるか
・罪証隠滅のおそれがあるか
といった,勾留の必要性があるかどうかという点です。
単に「捜査が必要」という理由だけで身体拘束が正当化されるわけではありません。
この点を踏まえずに手続が進むと、本来は勾留されるべきでない事案でも、漫然と身体拘束が続いてしまうおそれがあることに注意が必要です。
勾留延長された場合に必ず起訴されるとは限らない
勾留延長がされた場合でも、必ず起訴されるわけではありません。
確かに、勾留延長された事件は起訴される割合が高い傾向にはありますが、実際には、勾留延長後に不起訴となるケースも存在します。
例えば、
・証拠が十分でない場合
・被害者との示談が成立した場合
・被疑者に反省が見られる場合
・すでに社会的制裁を受けている場合
などです。
特に、示談の成立や,被疑者の側で不利な調書を取られないこと(証拠が十分でないこと)は不起訴判断に大きく影響します。
勾留延長による社会的影響とは
勾留延長による影響は非常に大きく、単なる手続上の問題にとどまりません。
1 仕事への影響
長期間の拘束により出勤できず、解雇や退職に至るケースがあります。
2 家族関係への影響
連絡が取れないことで家族に不安や不信感が生じ、関係が悪化することがあります。
3 社会的信用の低下
逮捕・勾留の事実が周囲に知られることで、社会的評価が低下する可能性があります。
4 精神的負担
逮捕や勾留を人生で何度も経験する方は少ない以上,そのような環境に身を置いていることそれ自体がかなりのストレスとなります。
また,留置施設での生活は自由が大きく制限されるうえ,接見禁止によって,ご家族との面会まで制限されることもあるので,身柄拘束されている被疑者は,強いストレスや不安を感じることになります。
このように、勾留延長は人生に重大な影響を与える問題です。
勾留延長され不起訴を獲得するために弁護士ができること
このような状況において、弁護士の役割は非常に重要です。
1 法律上の要件を踏まえた意見書の提出
弁護士は、
・逃亡のおそれがない
・罪証隠滅のおそれがない
といった点を具体的に主張し、
「そもそも勾留・勾留延長の法律要件を満たしていない」ことを明確に指摘します。
捜査機関においては捜査の必要性が重視されがちですが、弁護士が法的観点から主張することで、裁判所の判断が変わる可能性があります。
2 準抗告による争い
準抗告とは,裁判官が出した勾留や勾留延長の決定に対して,弁護人が,不服を申し立ててその取消を求める手続きです。ここでも,勾留の理由や必要性が満たされていないと主張することによって,勾留決定の取消等早期釈放につながる可能性があります。
3 示談交渉の実施
弁護士が介入することで、
・被害者への適切な対応
・誠意ある謝罪
・適切な賠償
が可能となり、示談成立の可能性が高まります。
示談が成立すれば、不起訴の可能性が大きく高まりますし,罪証隠滅のおそれがなくなったとして,勾留の必要性がないと判断される可能性も高まります。
4 接見による取調べ対応のサポート
弁護士は接見を通じて、
・黙秘権の行使等不利な供述を避けるポイント
・適切な受け答え
を具体的にアドバイスします。
これにより、不必要に不利な証拠が作られることを防ぎます。
5 身元引受人の確保と環境整備
・家族による監督体制
・住居や職場の安定性
などを整えたうえで,意見書などを通じて,逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを具体的に示します。
弁護士が関与することの効果
弁護士が早期に対応することで、
・勾留自体を阻止できる可能性がある
・勾留延長が認められない可能性がある
・早期釈放につながることがある
・不起訴の可能性が高まる
といった効果が期待できます。
勾留・勾留延長阻止に向けて特に重要なのは、法律上の要件に基づいて適切に争うことです。
ご家族が,勾留や勾留延長をされ,お悩み・不安な方,また,逮捕勾留される可能性があると考えられている当事者の方は弁護士法人晴星法律事務所へご相談ください
勾留延長された場合でも、結果が決まっているわけではありません。
むしろ、この段階での対応がその後の処分を大きく左右します。
晴星法律事務所では、
・迅速な接見対応
・勾留・勾留延長の阻止に向けた法的主張
・示談交渉による不起訴の実現
・ご家族への丁寧なサポート
を行っております。
「どうすればよいかわからない」という段階でも構いません。
早期のご相談が、最善の結果につながります。
勾留延長でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

