1 はじめに
詐欺罪に問われた場合、刑事手続きが進行し、場合によっては重い刑罰が科される可能性があります。しかし、適切な弁護活動を行うことで、刑の軽減や不起訴処分を目指すことが可能です。本記事では、詐欺罪の基本的な内容と、詐欺罪に問われた場合の弁護方針について解説します。
2 詐欺罪とは
詐欺罪は、重要な事実を偽って他人を欺き、財物を交付させ、または財産上の利益を得ることにより成立します。
刑法246条1項には、「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」同条2項には、「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」と規定されています。
詐欺の代表的な例としては、オレオレ詐欺、振り込め詐欺、投資詐欺、結婚詐欺などがあります。
詐欺罪が成立するためには、以下の構成要件を全て満たす必要があります。
⑴ 欺罔行為
欺罔行為とは、人をあざむいてだます行為をさします。欺罔行為には、事実を偽ることや重要な情報を隠す行為も含みます。
⑵ 相手方の錯誤
詐欺罪が成立するには、欺罔行為によって、人が錯誤に陥ることが必要です。
錯誤とは、うそに騙されて信じ込んでいる状態のことを言います。
⑶ 財物の処分行為
処分行為とは、欺罔行為により錯誤に陥った被害者が、詐欺を働いた人に対して自ら財物を渡すことを言います。
被害者が「自ら」財物を渡すことが必要であるため、例えば被害者が目をそらしているすきに物を持ち去る行為は詐欺罪にはあたらず、窃盗罪にあたります。
⑷ 財物・財産上の利益の移転
欺罔行為・相手方の錯誤・財産の処分行為により、被害者が完全に物や財産的利益を喪失した場合に、詐欺罪が成立します。
3 詐欺罪の刑罰について
詐欺罪の刑罰は「10年以下の懲役」です。
罰金刑はないため、有罪判決を受ければ、執行猶予がつかない限り、刑務所に収監されることになります。
また、たとえ初犯であっても、被害金額が高額な場合や、不特定多数を狙った組織的な詐欺事件で被害者が多数いるような場合には、悪質性が高いと判断されることがあります。
このような場合には、初犯であっても厳しい処罰が下されるおそれがあり、実刑判決が下る可能性もあります。
4 詐欺罪に問われた場合の弁護活動
詐欺行為が発覚した場合、基本的に逮捕され、勾留される可能性が高いです。
不起訴処分や減刑を目指すには、弁護士に依頼し、早期に被害者との示談を成立させることが重要です。早期に被害弁償をし、真摯な謝罪をすることにより、被害者から被害届を取り下げてもらえる可能性が高まります。起訴前に示談を成立させることにより、不起訴処分となる可能性もありますし、起訴後であっても、被害者との間で示談が成立していることは減刑を目指すにあたり有利な事情となります。
仮に、相手を騙すつもりがなかったり、詐欺について身に覚えがない場合には、詐欺をする意図がなかったことを証明する必要があります。
故意に被害者を騙したわけではないことを示す証拠を検察官に提示することにより、早期釈放となる可能性があります。また、刑事裁判においても、弁護士が客観的証拠に基づいて主張立証することにより、無罪又は減刑につながる可能性があります。
5 まとめ
詐欺罪は罰金刑がなく、懲役刑しか規定されていない罪であり、仮に有罪判決が下されれば、長期にわたり刑務所に収監される可能性があります。したがって、詐欺罪に問われた場合、早期に弁護士へ相談することが重要です。
弊所では、刑事弁護の経験が豊富な弁護士のサポートにより、適切な対応方針を立て、最善の結果を目指すことができます。お困りの方はぜひご相談ください。