犯罪被害に遭った場合の対処法:刑事事件手続きの流れと犯罪被害者救済の方法

犯罪に巻き込まれたとき、被害者としては恐怖や不安でどう対処すればいいのか分からなくなることも多くあります。

また、犯罪被害を受けた場合は、被害の回復や刑事手続きに関与するためにも、刑事手続きの流れを把握し、被害者としてできることを理解するのが重要です。

この記事では、刑事事件の手続きや、その中で犯罪被害に遭われた方ができること、弁護士の役割、弁護士に依頼するメリットについて詳しく説明します。

1 刑事事件手続きの流れ

犯罪被害に遭った場合、被害回復を受けたり刑事手続きに関与したりするためには、刑事事件手続きの流れを理解しておくことが大切です。以下は、被害者が刑事事件手続きに関与する際の基本的な流れです。

 

1.1. 被害届の提出

通常、最初に行うべきステップは、被害届の提出です。

被害届は、被害者が警察などの捜査機関に対して犯罪事実を申告するものです。被害届を提出することで、警察は事件の捜査を開始します。

 

被害届を提出する際、被害状況の詳細を正確に伝えることが重要です。何が起きたのか、いつ、どこで、誰によって被害を受けたのかをできる限り詳細に説明し、警察に提出します。被害届は、警察の捜査の出発点となるため、ここでの情報提供が捜査の進展に大きな影響を与えます。

 

また、被害届と類似するものとして、告訴があります。

告訴は、犯罪事実を申告するだけでなく、犯人の処罰を求める意思表示も含まれています。親告罪においては、告訴がなければ検察官は訴追することができません。

 

1.2. 捜査機関による捜査

被害届を受け取った警察は、捜査を開始します。

警察は事件の調査を行い、加害者の特定、証拠の収集、証言の聴取などを行います。捜査期間中、被害者も警察から追加の情報提供を求められることがあります。

 

1.3. 検察官への送致

捜査の進展次第で、警察は検察官に事件を送致し、検察官がさらに詳しく事件を捜査します。

軽微な事件であれば、警察の判断で検察官に送致せずに処理されることもありますが、重大な事件では検察に送致され、より詳細な捜査が行われます。

警察が集めた証拠を基に、検察官は加害者を起訴するかどうかを判断します。

 

検察官は、証拠が十分であると判断した場合、略式起訴や公判請求(起訴)といった処分を行いますが、不起訴処分になることもあります。不起訴処分になると、刑事裁判手続きは行われず、加害者に前科はつきません。

被害者が重大な事件に巻き込まれている場合は、検察官との連携が重要です。検察官は、被害者の証言や意向を考慮しながら、判断を下します。ここで被害者が弁護士を通じて、検察官と密に連携し、被害者の立場を適切に表明することが重要です。

 

1.4. 裁判と判決

検察官が加害者を起訴した場合、刑事裁判が開かれます。裁判では、検察官が加害者の罪状を立証し、弁護人側はこれに反論します。

裁判では被害者の証言が重要な証拠となることがあり、被害者が公判廷で証言をすることもあります。

裁判所は証拠を基に、加害者に対して適切な判決を言い渡します。被害者の証言や被害状況は、判決において加害者の量刑を決定するための非常に重要な要素となります。

 

なお、加害者が20歳未満の少年事件の場合、成人と異なり、原則として、家庭裁判所で審判が行われ、保護観察や少年院送致等の処遇が決定されます。

 

2 犯罪被害者救済の方法

犯罪被害に遭われた方が、被害を回復したり、刑事手続に関与して心情を伝えたりするために様々な制度や方法があります。

 

2.1. 被害者参加制度

被害者参加制度は、平成19年6月の刑事訴訟法改正によって導入された制度です。

一定の重大犯罪の被害者やそのご遺族が、刑事裁判手続きに参加し、意見を述べたり、検察官とは別に論告・求刑をしたりすることができます。その際、傍聴席ではなく、バーの中に入って刑事裁判手続きに参加することができます。

 

実際には、犯罪被害者から依頼を受けた弁護士が被害者に代わって意見を述べたり、論告や求刑をすることが多いです。

なお、窃盗罪や強盗罪などの財産犯は被害者参加制度の対象外となっています。

 

2.2. 損害賠償命令制度

損害賠償命令制度は刑事事件を担当している裁判所で、損害賠償請求の審理を行う制度です。

刑事裁判で被告人に有罪判決の言渡しがされた後、直ちに損害賠償命令事件の審理が開始されます。損害賠償命令の申立ては、当該被告事件の弁論終結までにしなければなりません。

損害賠償命令制度は、刑事記録が証拠として引き継がれ、また、申立手数料も2000円と比較的廉価で行うことができるというメリットがあります。

 

一方、損害賠償命令制度も、対象が一定の犯罪に限られており、また、異議申し立てによって訴え提起の擬制がされると、通常の民事訴訟の手数料額と損害賠償命令申立手数料額2000円の差額を納める必要があります。

また、被害者参加制度の対象となる犯罪と損害賠償命令制度の対象となる犯罪は同じではありませんので、この点も注意が必要です。

損害賠償命令の申立ても、被害者から依頼を受けた弁護士が行うことが多いです。

 

2.3. 示談交渉

示談交渉では、加害者に対して損害賠償の請求を求めて交渉を行います。

 

もっとも、犯罪被害に遭われた方の場合、加害者本人や加害者の弁護人と直接話をすることに抵抗がある方も多く、金額の妥当性や示談書の内容も判断するのが困難なことがあります。

そのようなときは、被害者から依頼を受けた弁護士が被害者に代わって、加害者や加害者の弁護人と示談交渉をすることもあります。

なお、加害者に弁護人がついている場合は、加害者の弁護人から示談交渉を求められることもあります。

 

また、当該刑事事件が継続する裁判所に被告人と被害者が共同して申し立て、損害賠償に関する双方の合意を刑事事件の公判調書に記載してもらう刑事和解という手続きもあります。

実際には、被害者から依頼を受けた弁護士と加害者の弁護人があらかじめ示談交渉を行ったうえで、刑事和解をすることが多いです。

 

2.4. 犯罪被害者等給付金制度

故意により人の生命または身体を害する犯罪行為で不慮の死を遂げた方の遺族又は重症病を負い若しくは障害が残った方に対して給付金を支給する制度です。

犯罪被害者等給付金には、遺族給付金、重傷病給付金、障害給付金の3種類があります。

 

もっとも、加害者との間に親族関係がある場合や、犯罪被害者が犯罪を誘発するなど犯罪被害者にも帰責事由があるとき、支給することが社会通念上適切でないと認められるときには、給付金の全部又は一部が支給されない場合があります。

 

2.5. 少年犯罪被害者支援制度

少年事件によって犯罪被害に遭われた方については、家庭裁判所に申し出ることによって、少年事件記録の閲覧・コピーや心情・意見の陳述、審判の傍聴、審判状況の説明を受けることができます。

心情や意見の陳述は、審判の場で裁判官に直接述べる方法と、審判以外の場で裁判官や家庭裁判所調査官に述べる方法があります。

審判の傍聴は、殺人、傷害致死、傷害など故意の犯罪行為や交通事件などによって被害に遭われた方が、死亡したり、生命に重大な危険のある障害を負ったりした事件の被害者本人やそのご遺族の方が対象になります。

なお、少年が事件当時12歳に満たなかった場合や家庭裁判所が不相当と判断した場合には、傍聴をすることができません。

少年犯罪被害者支援制度の申出は、被害者から依頼を受けた弁護士が行うこともできます。

 

3 まずは弁護士へご相談を

犯罪被害に遭われた場合、被害者が一人で刑事裁判手続きに関与するのは、精神的にも負担が大きく、手続きの複雑さに対処するのが難しいと感じることもあります。

 

特に、刑事裁判は専門的な知識を必要とし、被害者が一人で対応するのは非常に困難といえます。弁護士に依頼することで、刑事裁判手続きにおいても、その都度弁護士から専門的なアドバイスを受けることができます。

 

また、犯罪被害に遭われた場合、加害者との示談交渉や刑事手続きへの関与等を一人で行おうとすると、大きな精神的ストレスを抱えてしまいます。弁護士に依頼することで、被害者が直接加害者やその弁護人とやり取りをする必要がなくなり、また、刑事手続きへの関与もサポートしてもらえるので、精神的な負担を軽減することができます。

特に、大きな精神的ダメージを受けている被害者にとっては、専門家である弁護士のサポートが心の支えとなるでしょう。

弁護士法人晴星法律事務所では、被害者参加手続きや加害者との示談交渉をはじめ、犯罪被害に遭われた方のサポートを行っております。

犯罪被害に遭われてお困りの方につきましては、是非、ご相談ください。

 

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