酔って不同意性交に問われてしまったら?罪・逮捕の流れと弁護士に相談すべき理由

お酒の席では気が緩みやすく、誤解やトラブルが起きやすいものです。しかし、酔った勢いでの行為が「不同意性交」や「不同意わいせつ」として刑事事件に発展することがあります。

性犯罪に問われた場合、刑罰は非常に重く、社会的影響も甚大です。

ここでは、酔っているときに問題となりやすいケースや、逮捕のタイミング、刑罰の重さ、弁護士に依頼するメリットについて詳しく解説します。

 

酔って不同意性交に問われてしまうよくあるケースとは

不同意性交等罪(刑法177条)は、相手の同意がないのに性交等をした場合に成立する犯罪です。特に飲酒の場面では、次のような典型的ケースが見られます。

・相手が泥酔しており、拒否や抵抗ができない状態で行為に及んだ

・「嫌がっていなかったから同意がある」と思い込んでしまった

・自分も酔って冷静な判断を欠き、強引に行為を進めてしまった

・一夜限りの関係だと思っていたが、後日「同意していなかった」と申告された

酔って意思表示ができない状態は「同意がない」と評価されやすく、不同意性交が成立する大きな要素となります。

 

酔って覚えていない場合でも罪に問われますか?

よくある「酔っていて覚えていない」という弁解は、刑事責任を免れる理由にはなりません。

刑法39条は、心神喪失状態の者の行為は罰しない、心神耗弱の場合は刑を減軽すると定めています。

しかし、自らの飲酒によって心神喪失・耗弱に陥った場合(自招酩酊) は、判例・通説上「原因において自由な行為」として扱われ、原則として責任を免れることはできません。

例えば、最決昭和43年2月27日は「飲酒時点で運転する意思があった場合、酩酊の結果心神喪失に至っても刑法39条の適用は制限される」と判示しています。また、病的酩酊の素因を自覚しながら飲酒した場合に責任を免れないとした判例(最大判昭和26年1月17日)もあります。

つまり「酔って覚えていないから罪に問われない」ということはないのです。

実際の捜査では、被害者の供述、防犯カメラ映像、DNA鑑定などの物的証拠を総合して「性行為があったか」「同意があったか」が判断されるので、本人が覚えていないといっても、簡単に信用してくれないことがほとんどです。

 

性交に至らない場合でも罪に問われることがあります

また、「性交まではしていないから大丈夫」と考えるのは誤りです。

性交に至らない性的行為であっても、不同意わいせつ罪(刑法176条)が成立する可能性があります。

例えば、相手の同意なく身体を触る、キスをする、服を脱がせるといった行為についても、法定刑は6月以上10年以下の拘禁刑であり、決して軽いものではありません。

また、法務省「性犯罪に係る裁判例調査報告書」でも、被害者が 飲酒酩酊のため抗拒不能状態にあると認められた事案 でわいせつ行為が行われ、有罪と判断された例が報告されています。(https://www.moj.go.jp/content/001318164.pdf

このように、性交に至らなくても「自由意思に基づかない性的行為」であれば処罰の対象となることは明らかですので、注意が必要です。

 

酔っ払った場合の犯罪で逮捕されるタイミング

不同意性交や不同意わいせつのような重大犯罪では、逮捕のタイミングが大きな意味を持ちます。

① 現行犯逮捕

行為の直後に被害者が通報し、警察官が駆け付けて事実が確認された場合には、刑事訴訟法212条に基づき現行犯逮捕されます。

飲食店やホテルで従業員が通報し、その場で逮捕に至るケースもあります。

② 後日逮捕

事件直後に逮捕されなくても、被害者の告訴(刑訴法230条)や証拠収集を経て、通常逮捕(刑訴法199条)されることがあります。

突然、自宅や勤務先に警察が来ることもあり、社会的影響は極めて大きいといえます。

 

不同意性交・不同意わいせつの刑罰と重さ

不同意性交及び不同意わいせつの法定刑は以下のとおりです。

・不同意性交等罪(刑法177条):5年以上の有期拘禁刑

・不同意わいせつ罪(刑法176条):6月以上10年以下の拘禁刑

さらに、未成年者が被害者であった場合や、加害者が監護者であったり、複数人で行った場合などは加重規定(刑法178条)が適用され、より重い刑が科されます。

前述のとおり、法務省「性犯罪に係る裁判例調査報告書」には、被害者が酩酊などで抵抗できない状態にあると認定され、性交やわいせつ行為が有罪とされた裁判例が整理されており、酒席での行為は実務上も厳しく判断されやすいことが示されています。

 

刑法改正によってどう変わったか

2023年の刑法改正(令和5年法律第85号)により、性犯罪の規定は抜本的に見直されました。特に「強姦罪」は「不同意性交等罪」に、「強制わいせつ罪」は「不同意わいせつ罪」に改められ、同意のない性行為やわいせつ行為を処罰する枠組みが明確に整備されています。

① 同意のない性行為を広く処罰

従来の「暴行・脅迫」や「抗拒不能」という文言に依拠するのではなく、「相手が自由意思に基づいて同意していない場合」には広く犯罪が成立する形に改められました。

② 酩酊による抵抗不能も明確に処罰対象

改正前からも判例で処罰対象とされていましたが、改正法により「泥酔・酩酊などで相手が有効な同意を示せない場合」も明確に不同意性交・不同意わいせつに含まれると整理されました。

つまり、酒に酔って同意の意思を示せない状態の相手に性的行為を行えば、暴行や脅迫がなくても有罪になることが条文上も明確になり、これにより、酒に酔った場合に刑事事件として捜査される可能性が高まったといえます。

③ 刑罰の加重と厳罰化

不同意性交等罪の法定刑の下限は5年以上の拘禁刑とされており、改正前から非常に重い刑罰が科されていました。

今回の法改正でも下限刑自体は変わっていませんが、条文上「同意がない」場合を広く処罰できるようになったため、酒に酩酊した被害者に対する行為など、従来なら立証が難しく不起訴や無罪となることもあったケースが、より確実に処罰対象となるようになった点で、実質的に処罰が強化されたといえます。

 

不同意性交・不同意わいせつを犯してしまった場合に弁護士へ依頼するメリット

性犯罪事件に巻き込まれた場合、できるだけ早い段階で弁護士に依頼することが極めて重要です。

逮捕・勾留の有無、起訴の可否、量刑の重さは、初動の対応で大きく変わる可能性があります。

① 逮捕・勾留を回避または短縮できる

逮捕前であれば、弁護士が迅速に被害者側と示談交渉を行うことで、逮捕そのものを避けられる場合があります。

仮に逮捕された場合でも、勾留決定に対して不服を申し立て、早期の釈放を実現できる可能性があります。

② 被害者との示談交渉を適切に行える

被害者本人に直接連絡を取ることは二次被害につながりかねず、非常に危険です。

弁護士が代理人として交渉にあたることで、被害者の感情に配慮しながら話し合いを進めることができます。

さらに、弁護士が関与することで示談の条件や金額を法的に適切な内容に整理し、合意を文書化して検察官や裁判所に提出できる形に整えることができます。

示談成立は、不起訴処分や執行猶予を獲得するうえで極めて重要な要素です。

③ 裁判での情状弁護

起訴されてしまった場合でも、弁護士は執行猶予(刑法25条)の獲得を目指して弁護活動を行います。

家族や勤務先による監督体制の確立、再発防止のためのカウンセリングや治療プログラムの受講など、被告人が更生に向けて取り組んでいることを裁判所に具体的に示すことが重要です。

こうした事情は量刑に大きく影響を与えます。

④ 家族や職場への対応・生活面でのサポート

性犯罪事件では、本人だけでなく家族や勤務先も大きな影響を受けます。

逮捕・勾留によって家族が不安定になったり、勤務先に事件が知られて職を失う危険もあります。

弁護士は、家族に対して事件の流れや見通しを説明することで、不安を和らげる役割を果たします。

また、勤務先に対しては出勤停止や懲戒解雇といった処分に直面しないよう、状況に応じて適切な説明や調整を行うことができます。

社会生活へのダメージを最小限に抑えることも、弁護士に依頼する大きなメリットです。

 

酔って不同意性交を犯してしまった方はご相談ください

性犯罪は社会的非難が強く、刑罰も重い分野です。酔っていたからといって責任が軽くなることはなく、むしろ被害者が酔っていた場合には、「無防備な被害者を狙った」と評価されることもあります。

しかし、弁護士に依頼することで、①逮捕や勾留の回避・短縮、②示談成立による不起訴処分の獲得、③裁判での情状弁護による刑の軽減といった可能性を高めることができます。

「酔って覚えていないが不同意性交に問われている」

「被害者と示談をしたいが方法がわからない」

「突然警察から呼び出しを受けて不安だ」

このようなお悩みを抱えている方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。秘密は厳守されますので、安心してご相談いただけます。

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