「万引きをしてしまったが、懲役刑になるのだろうか」
「初犯でも前科がついてしまうのか」
「会社や家族に知られずに解決できないか」
窃盗事件を起こしてしまった方が最も強く不安に感じるのは、刑罰の重さと前科がつくかどうかです。
インターネット上には「初犯なら大丈夫」「罰金で終わる」といった情報も見られますが、実務上は必ずしもそうとは限りません。
窃盗罪は、誰にでも起こり得る犯罪である一方、対応を誤ると人生に大きな影響を与える犯罪です。
この記事では、刑事事件に注力する扱う弁護士の立場から、窃盗罪の刑罰の仕組み、初犯・再犯での違い、実刑になるケース、嫌疑をかけられている場合にどのように行動すれば良いのかについて詳しく解説します。
窃盗罪の刑罰はどれくらいになる?弁護士が解説
窃盗罪とはどのような犯罪か
窃盗罪は、刑法235条に定められた犯罪です。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
ここで重要なのは、窃盗罪の法定刑の幅が非常に広いという点です。
同じ窃盗行為であっても、
- 罰金で終わるケース
- 起訴されずに不起訴となるケース
- 執行猶予付き判決
- 実刑判決
まで、結果は大きく分かれます。
その分、弁護活動や初動対応の影響が極めて大きい犯罪ともいえます。
窃盗罪の刑罰とは
窃盗罪の刑罰:拘禁刑
窃盗罪の中心となる刑罰は、10年以下の拘禁刑です。
ここで,以前は,窃盗罪の刑罰として懲役刑が定められていましたが,2025年6月1日から,懲役刑と禁固刑の区別を廃止し,拘禁刑に統一されました。
拘禁刑は懲役刑と同様に,刑事施設に収容され身体の自由を制限されるという点では変わりませんが,懲役刑のように刑務作用が一律の義務ではなくなったことに違いがあります。
時代の変化により,一律に刑務作業を課すことが再犯防止につながらず,受刑者の特性に応じて,教育・職業訓練中心・依存症治療・裁判防止プログラム中心等,柔軟な処遇を可能にするための法改正です。
とはいえ,拘禁刑も、刑務所に入るということで、不安を感じる方が多いでしょう。
もっとも、実務上、すべての窃盗事件で拘禁刑が科されるわけではありません。
特に、
- 初犯
- 被害額が少額
- 被害弁償がなされている
- 被害者との示談が成立している
といった事情があれば、拘禁刑が回避される可能性は十分にあります。
しかし一方で、次のような場合には、拘禁刑が現実的に検討されます。
- 繰り返し窃盗を行っている
- 被害額が高額
- 計画的・悪質な犯行態様
- 前科・前歴がある
窃盗罪の刑罰:罰金
窃盗罪には、50万円以下の罰金刑も規定されています。
万引きなどの軽微な事案では、罰金刑で終了することもあります。
ただし、ここで注意すべき重要なポイントがあります。
それは、
👉 罰金刑であっても「前科」はつく
という点です。
一般に罰金刑であれば大丈夫との認識を持っている方もおられますが,前科とは、刑事裁判で有罪の判決を受けた経歴のことであるため、刑罰の重さや種類にかかわらず、有罪判決が確定すれば、当該事実が記録され「前科あり」となります。
このため、「罰金だから前科にはならない」という認識は誤りであり、
前科がつくことで、将来の就職・転職、資格、再犯時の処分に影響が出ることもあります。
窃盗が初犯の場合も懲役実刑になるとき
「初犯だから大丈夫」という誤解
窃盗事件の相談で非常に多いのが、
「初犯だから軽く済むだろう」という考えです。
確かに、初犯であることは有利な事情ではありますが、
初犯=必ず軽い処分になるというわけではありません。
初犯でも懲役実刑が想定されるケース
例えば、次のようなケースでは、初犯であっても懲役実刑が視野に入ります。
- 被害額が非常に高額(数百万円以上)
- 店舗荒らしや侵入窃盗など、危険性の高い犯行
- 組織的・計画的な犯行
- 被害者が強い処罰感情を示している
- 被害回復が一切なされていない
このような場合、裁判所は「社会的影響が大きい」と判断し、実刑判決を下す可能性があります。
初犯で処分を軽くするために重要なポイント
初犯で処分を軽くするために、実務上特に重視されるのが次の点です。
- 早期の被害弁償
- 被害者との示談成立
- 真摯な反省と再犯防止策(例えば,クレプトマニア(窃盗症)の場合の専門的治療の手配等)
これらを適切なタイミングで行えるかどうかが、不起訴・略式罰金・執行猶予といった結果を大きく左右します。
窃盗再犯の場合の刑罰は初犯とはちがう?
再犯は原則として厳しく評価される
窃盗の再犯の場合、刑事処分は初犯とは大きく異なります。
特に、過去に窃盗で有罪判決を受けている場合、
- 常習性
- 改善の見込みの有無
が厳しく評価されます。
実刑判決が現実的になるケース
次のような場合、再犯では懲役実刑の可能性が高まります。
- 執行猶予中の再犯
- 執行猶予満了後間もない再犯
- 窃盗を繰り返して生活していると判断される場合
裁判所は、「社会内での更生が困難」と判断し、刑務所での矯正が必要と判断する傾向があります。
窃盗罪と前科の問題
前科がつくとはどういうことか
前科とは、刑事裁判で有罪判決を受けた経歴をいいます。
不起訴処分の場合には前科はつきませんが、
- 罰金刑
- 執行猶予付き拘禁刑
- 実刑
いずれの場合も前科となります。
前科が与える影響
前科があることで、
- 再犯時に処分が重くなる
- 就職・転職で不利になる可能性
賞罰欄のある履歴書には記載義務があり、虚偽の申告は経歴詐称になります。
また,面接で前科の有無を聞かれた際も、前科を伝えないことは虚偽を述べて入社したとして,後に発覚した場合には懲戒処分などの対象になるため,正直に答える必要があります。
ただし、罰金刑は禁錮以上の刑とは異なり、職業によっては欠格事由(なれない職業)にならないものもあります。資格の制限には、拘禁刑以上の前科と定められていることがあるからです。
- 資格取得や更新に影響が出る
一部の資格(教員、保育士など)では、罰金刑でも資格の停止や剥奪の対象となる場合があります。
- 海外渡航:前科があることは,ビザ取得などに影響が出ることがあります。
- 離婚など影響家庭生活への影響:結婚生活に影響が出たり、また、過去の前科が判明することが、離婚の引き金になったりすることもありえます。
そのため、窃盗事件では、👉 「前科を避けられるかどうか」
が極めて重要なポイントとなります。
窃盗罪を弁護士に相談するメリット
早期相談で不起訴の可能性を高められる
窃盗事件では、不起訴処分を得られるかどうかが大きな分かれ道になります。
弁護士が早期に介入することで、
- 被害弁償・示談の迅速な実施
- 検察官への適切な意見書提出
が可能となり、不起訴の可能性が高まります。
被害者との示談交渉を任せられる
窃盗事件では、被害者との示談が極めて重要です。
しかし、当事者本人が示談交渉を行うことは、精神的にも現実的にも困難な場合が多いです。
刑事事件専門の弁護士であれば、
- 被害者感情に配慮した交渉
- 適切な示談条件の設定
- 示談成立後の検察対応
まで一貫して対応できます。
取調べ対応の具体的アドバイスが受けられる
警察や検察の取調べでは、不用意な発言が不利な証拠として使われることもあります。
弁護士に依頼することで、
- 取調べで注意すべき点
- 調書への署名押印の判断
など、実践的な助言を受けることができます。
窃盗罪で逮捕された場合は弁護士法人晴星法律事務所へご相談ください
窃盗事件は、
- 前科がつくかどうか
- 実刑になるかどうか
- 社会生活を維持できるかどうか
といった、人生に直結する問題です。
弁護士法人晴星法律事務所では、
刑事事件専門チームを設置して、刑事事件に注力しており、窃盗事件についても多数の解決実績があります。
- 逮捕・勾留の回避
- 不起訴処分の獲得
- 刑罰の軽減・執行猶予
まで、事案に応じた最善の弁護活動を行います。
「まだ大丈夫だろう」と思っている間に、事態が取り返しのつかない方向へ進んでしまうことも少なくありません。
少しでも不安を感じたら、できるだけ早くご相談ください。

