1.ご相談の概要
依頼者は、店舗で日用品を万引きしたとして、警察から事情聴取を受けていました。
問題となったのは、歯磨き粉、栄養ドリンク、石鹸、カイロなどの日用品の万引きでした。
依頼者は、警察から指摘された事件以外にも、数か月の間に複数回万引きをしたことを認めていました。また、約3年前にも別の店舗で万引きをして検挙され、微罪処分となった前歴がありました。
そのため、被害額自体は高額ではなかったものの、過去の検挙歴に加え、本人が複数回の万引きを認めていたことから、略式起訴による罰金刑となる可能性もある事案でした。
依頼者は、警察で複数回取調べを受けた後、検察庁でも取調べを受けており、検察官による最終的な処分が決まる前の段階で、当事務所にご相談・ご依頼いただきました。
なお、被害店舗に対する被害弁償については、ご依頼前の時点で、ご本人により既に行われていました。
2.弁護士の対応
本件では、不起訴処分を目指し、検察官による処分が決まるまでの限られた期間の中で、依頼者に有利な事情を整理し、検察官に適切に伝えることを中心に弁護活動を行いました。
(1)担当検察官と処分時期や捜査状況を確認
受任後、担当検察官に連絡し、今後の取調べや終局処分の見通しについて確認しました。
検察官からは、次回の取調べを踏まえて基本的には処分を決める予定であり、それまでに示談その他の事情に進展があれば、処分に影響する可能性があるとの説明がありました。
また、ご依頼者が今回の事件以外にも万引きをしたことを認めている点について確認したところ、過去の万引きについては、被害を特定する客観的な裏付けまではないとの説明を受けました。
本人が複数回の万引きを認めていたとしても、それだけで直ちにすべての事件が立件されるわけではありません。本件では、他の万引きについて被害店舗や被害内容を客観的に特定することができず、最終的に今回問題となった事件以外は立件されませんでした。
(2)家族による監督体制を整備
本件では、過去にも万引きによる検挙歴があり、今回も複数回の万引きをしていたことから、再犯防止のための環境を示すことが重要でした。
そこで、ご主人に協力していただき、今後ご依頼者を支え、再び同様の行為に及ばないよう見守っていくことを内容とすることをお約束いただき、そのことが客観的に分かるように身元引受書を作成しました。
単に本人が反省しているというだけではなく、家族による具体的な支援・監督を受けられる環境にあることを、資料として検察官に示すことが重要であるためです。
(3)不起訴を求める意見書を提出
(1)(2)を踏まえて、検察官が処分を決める前に、不起訴処分を求める意見書を作成して提出しました。
意見書では、
* 被害額が比較的少額であること
* ご依頼前に既に被害弁償が行われていること
* ご依頼者が自身の行為を反省していること
* ご主人による身元引受け・監督が期待できること
* 再犯防止に向けた環境が整っていること
など、ご依頼者に有利な事情を整理して検察官に伝えました。
また、被害弁償が済んでいることを確認できる資料、ご主人の身元引受書などの関係資料も併せて提出しました。
3.結果
不起訴意見書と関係資料を提出した後、担当検察官に処分結果を確認したところ、不起訴処分となったことが確認できました。
通常、在宅事件(被疑者が逮捕・勾留等の身柄拘束を受けていない事件)は、捜査終了まで時間を要することも多いですが、ご依頼いただいてから約1か月という短期間で、不起訴処分となり、本件は終了しました。
本件では、過去にも万引きによる微罪処分歴があり、さらにご依頼者自身が複数回の万引きを認めていたため、必ずしも不起訴が当然に見込める事案ではありませんでした。
もっとも、他の万引きについては、本人の供述以外に客観的な裏付けがなく、被害を特定することができなかったため、今回の事件以外は立件されませんでした。
その上で、既に行われていた被害弁償に加え、家族による監督体制や反省・再犯防止に向けた事情を整理し、検察官が処分を決める前に不起訴を求める意見書と資料を提出した結果、今回立件された事件についても不起訴処分となりました。
4.複数回の万引きを認めている場合でも、すべてが直ちに処罰の対象となるわけではありません
万引きは、刑法上の窃盗罪に当たります。特に、
* 過去にも万引きで警察から処分を受けたことがある
* 短期間に何度も万引きをしている
* 常習的な万引きが疑われている
といった事情がある場合には、初めての万引きの場合と比べ、より厳しい処分となる可能性があります。
一方で、本人が「ほかにも万引きをした」と認めている場合でも、その供述だけで直ちにすべての万引きが立件されるとは限りません。
実際に事件として処理するためには、防犯カメラ映像、店舗側の被害申告、商品の特定など、個々の万引きを裏付ける捜査が行われます。本件でも、本人が複数回の万引きを認めていたものの、他の事件については客観的な裏付けがなく、被害を特定することができませんでした。
他方、そのような事情があったとしても、今回立件された事件について不起訴になるとは限りません。
そのため、検察官が処分を決める前に、被害弁償の状況、本人の反省、家族の監督状況、再犯防止に向けた取組みなどを整理し、適切な資料とともに検察官へ伝えることが重要です。
当事務所では、万引きなどの窃盗事件について、捜査状況の確認、検察官との連絡、不起訴を求める意見書の作成・提出、家族による監督体制の整備など、不起訴処分を目指した弁護活動を行っていますので、お気軽にご相談ください。

